■7月6日夜
さぁ、いよいよ南アルプスの鳳凰三山へ登るぞ!と夜中に中央高速にて車を走らす。そして夜叉神峠へ向かう途中にゲートに出くわす。ぬぁんと通行止め。仕方がないので芦安へ戻り駐車場に止め道路情報を検索すると、ぬぁんとぬぁんと広河原へのバスも運休・・・。
終わったな・・・。
どうやら昨夜までの豪雨で土砂災害の危険がある為の運休とのこと。仕方がないので駐車場で朝まで仮眠して甲武信ヶ岳へ向かうことにしました。
■7月7日
西沢渓谷の駐車場に車をとめて徳ちゃん新道登山口へ向かう。この時点では登山テンションダダ下がりでして60%ほどにまで下がっておりました。
相棒に「ほんとにこれからココ登んの~」とやる気なしモードのまま徳ちゃん新道に入る。こんなんで大丈夫なのかと思ったのだけど登り始めたらいつものように魔の一時間を迎える。
ここ徳ちゃん新道は急なんだけど程よく整備されておりとても登りやすい。登りやすいんだけど急・・・。
とはいっても素敵なところです。木がイイですねぇ。そして「尾根」にこだわった作り。とにかく「尾根」。巻きが一切入らない・・・。とても男らしい道ですね。
そんなこんなで3時間ほどで近丸新道との合流地点に到着。しかし本日のゴール甲武信小屋までの行程のまだ半分・・・。長い・・・。
ひたすら登らされて稜線に出るまでは白目むいてました。浮石、岩稜帯、泥、いろんな技で攻めてきます。おそるべしです戸渡尾根!
とにかく標高を上げていくほどに風が強くなってくる感じでして休憩時には急速に体が冷える為カッパを着てしのぎます。この薄っぺらいカッパでも十分暖かく感じます。
もの凄い風が谷から吹き上げてきます。身の危険を感じるほどです。
木ももげるんじゃないかと冷や冷やしました。
時折現れる老齢の樹木。たとえ天候が荒れてて眺望が無い場合でもこういうのを見るのも登山の醍醐味ですよね。思わず手を合わせてしまいそうになります。
ようやく稜線に出て、巻くつもりでしたが距離的には木賊山経由のほうが近いという理由でピークを踏んでいくことにしました。
そしてようやく木賊山に到着。6時間ほどかかってしまいました。やっぱりテント泊装備ですと時間かかりますねぇ。コースタイムの1.3倍ほどでしょうか。これからは1.3倍で計画しないとですね。そんな木賊山からの眺望は無く、辺り一面ホワイトアウト・・・。ここからの眺望がイイとどこかで見てたんですけどねぇ。残念ですが仕方ありませんね。
ここから甲武信小屋へは下るだけです。が・・・。これがまた急でして・・・。とどめを刺された気分になりました。
そして本日のゴール甲武信小屋へ到着致しました。この瞬間はホント嬉しいし、こういった悪天候ですとホッとしますねぇ。
最近のお気に入りは小屋の煙突からの薪の匂いです。遠い昔に嗅いだ覚えがあるからなのかとても安らぎます。今までに泊まった小屋の中では奥多摩小屋くらいですかねぇこの匂いが無かったのは。
テントを張って汗でびしょびしょになった衣服を着替えてサッパリしてビール。至福の瞬間。別にキンキンに冷えてなくてもイイんです。本当にこんな山奥でありがたいことです。それにしてもとっちらかったテーブル・・・。
軽めに食事をとり17時には寝ました。外は南からの稜線を叩く暴風が吹いておりゴーゴーと凄まじいです。このテント場が一段下がったとこにあって本当に助かります。稜線上にあったらまずテントは張れないレベルの風。こんな風は初めての経験かもしれません。
■7月8日
そして2日目。4時半に目が覚めて外を見てみると朝焼け。お!晴れるのか?と思いましたが一瞬の出来事でした。しばらくすると再びホワイトの世界に戻りました。
6時半に空身(サブザックにはエマージェンシーと水筒in)で甲武信ヶ岳ピークに向かいました。
岩が現れて程なく山頂。
いやぁ。このピークまでが長かった・・・。ひたすら登りだったからなのか急だったからなのかはわかりませんが今までの山の中で本当に奥深い山に感じました。そしてとても男らしさを感じました。この山は誠に勝手ながら性別は「オス」に決めました。
しばらくはこの真っ白を堪能(?!)して一瞬の眺望を期待しましたが残念ながらその一瞬もありませんでした。
甲武信小屋へ戻り、テントを撤収して8:30下山です。
巻き道にて戸渡尾根へ向かいます。当初は破不山方面へ歩き雁峠から降りるつもりでしたが下山道が谷筋なので危険を感じた為ピストンに変更しました。小屋番さんの話ですと前々日まで物凄い豪雨だったらしい。鳳凰三山でのバスの運休しかりやっぱり長雨のあとは何があるかわからないため、直前でも登山自体を中止することもこれからは考えていかないといけないと思いました。今さらですが。次回同じようなことが起きた場合は迷わず中止すると思います。
そんな巻き道から一瞬だけ雲海が!今回初めての眺望です。ありがとうございます。
とにかく急な下りなので膝がワナワナ。そして集中していたからか頭に血がのぼってのぼせ気味になりちょっとしたことでイライラっとしてしまいます。イケマセンね。冷静さを欠くとろくなことがないので気を付けないとイケマセン。ちょうど2時間で合流地点に到着し、相棒は気を使ってか20分くらい長めに休憩しましょうと言ってくれました。
徳ちゃん新道に入りだいぶ霧も晴れて遠くが見えるようになってきた頃、ようやく姿を現した富士山。とても嬉しいです。ありがとうございます。
そしてとことんまで尾根にこだわった徳ちゃん新道を下りきりました。
いやぁ・・・。なんと奥深く男らしい山なんでしょうか甲武信ヶ岳。とても好きな山になりました。今回は間に合わせ的登山となってしまいましたが今度は100%眺望が望める日を選んで襟を正してまた甲武信ヶ岳さまに登らせて頂きたいと、こう思っている次第でございます。