うっかり

山のこと、釣りのこと、自転車のこと、鳥のこと、道具の試行錯誤

オレンヂの侵食

オレンヂコアを奪取したうっかりはF104に内蔵したまでは良かったが、オレンヂコアの真の目的を知る由もなく、その3日後には脳内に侵入され、勝手に足が動き出し、気が付けばセリアという店に立ち尽くしていた。中年ブニブニ坊主頭という立場上の問題を孕みつつファンシーコーナーに向い、赤茶けた髪かつ三本線ジャージ姿の10代女子の怪訝そうな目をよそにおもむろにヘアゴムを掴まされていた。

いや、その前にもその予兆はあったのだ。気が付けばDaisoという店にも居たことがあった。その時もファンシーコーナーに勝手に連れて行かれ中年ブニブニ坊主頭という役職に就いている者にはあるまじき行為ともとられかねないにも関わらずヘアゴムを物色させられたが、その時にはオレンヂゴムが無かったがゆえに事なきを得ていた。

f:id:ukkarisangakubu2:20201209135724j:plain

しかし、今回ばかりは違った。セリアにはオレンヂゴムが存在したのだ。買いたくもないオレンヂゴムを一掴みにして勝手にレジへ向かわせられるうっかり。110円を払い、口を固く閉ざしていても脳内の指令は容赦はしない。「袋は要りません」と言わされるのである。

完全に脳内を占拠された形になったうっかりは家に戻りおもむろにハサミを取り出し、F104に配備されているブラックゴムをむしり取ろうとしていた。「だめだだめだ!ブラックゴムはそんじょそこらに転がっているゴムとはわけが違うんだぁ。」と心の中で叫び続けていたが脳内占拠の身にはそんな言葉はなんの意味も効き目もない。しかしそんな意味もないことにも関わらず叫び続けていたことで、脳内に息を潜めて汚染から逃れ存在していたうっかりレジスタンス脳細胞に届いたらしいのだ。そんなレジスタンスの活躍によりどうやらハサミでブラックゴムを切ってしまう暴挙を止めることはできたようだ。

 

f:id:ukkarisangakubu2:20201209135805j:plain

切られなかったとはいえ結局はむしり取られた形となってしまったブラックゴムは真っ直ぐに伸ばされてあられもない姿をさらしている。そこに同サイズに切られたオレンヂゴムが横たわっている。この時点でようやくうっかりは気が付いたのである。これはオレンヂの侵食が始まったのだと。

 

f:id:ukkarisangakubu2:20201209140022j:plain
f:id:ukkarisangakubu2:20201209140052j:plain

淡々と作業は進行させられる。そう、させられるのである。オレンヂコアの奴隷と化したうっかりはささくれ立った末端処理を命ぜられ、MadeinFranceのピンキーBICライターを取り出し「チっ」とささくれを焼き払う。そんな作業が延々と前後4本分続くのである。

 

f:id:ukkarisangakubu2:20201209140207j:plain
f:id:ukkarisangakubu2:20201209140239j:plain

う~っ・・・、やめてくれぇ・・・、頑強なブラックゴムで外殻武装されていたF104はオレンヂ侵食によって軟弱なオレンヂゴムにとって代わっていった・・・。

 

f:id:ukkarisangakubu2:20201209140359j:plain

そして・・・、F104中枢の直近の防衛施設であるトップフラップゲートもついにはオレンヂの侵食の魔の手が伸び、果てにはこのオレンヂラメ入りヘアゴムはラメなし外殻部隊とは異なり最高位の階級を与えられ、オレンヂコアの前衛として勅任することになってしまっていたのだった。

to be Continue・・・